「今の心が未来をつくる」手に職でキャリアを花開かせよう


 こんばんは、有限会社THSの鈴木です。最近、休みの日もつい原稿を書いてしまいます。書くたびに気づくのは、仕事の質は「心の向き」で大きく変わるということ。僕はそれを“心の針”と呼んでいます。嬉しい出来事があればプラスに、思わぬトラブルが起きればマイナスに振れる――その針をどちらへ向け直すかで、次の一歩も、チームの空気も変わります。

正直に言うと、昔の僕は「運が悪い」「ツイてない」が口ぐせでした。売上に追われ、予定が崩れるたびにイライラが顔に出る。ある猛暑の日、立て続けに現場が押して、最後のお宅に着いたのは約束の時間ぎりぎり。焦る僕を見て、同行していた新人が固まってしまいました。室内に入ると、お客様が不安そうにこちらを見ています。このままでは雰囲気まで悪くなる――そう直感し、僕は一度深呼吸して、姿勢を正して、まずは笑顔で挨拶。「お待たせしてすみません、今日中に念願のエアコンはつきますのでご安心ください!」それだけで、場の緊張がふっと緩んだのを覚えています。作業が終わるころには新人の手も滑らかになり、お客様から「今夜は涼しい中で眠れます。ありがとうございました」とお茶をいただきました。

このとき学んだのは、現場に入る前に“心の針”をプラスへ戻すことの力です。以後、現場に入る前の小さな儀式を決めました。①深呼吸、②お客様へ心を向ける、③最初の一声は相手の不安をほどく言葉に。たった数十秒ですが、失敗が減り、トラブルの芽も小さいうちに摘めるようになりました。

チームでも仕組みにしました。朝礼で「良かったこと」を共有し、“ありがとうログ”も共有。数字のKPIと同じ棚に、感謝のKPIを並べると、メンバーの表情が変わります。“目の前の一人を幸せにする工夫”や“小さなありがとうの積み重ねを大切にする”ことが成果につながり、成果がまた心の余白をつくる。プラスの循環は、こうして回り始めました。
もちろん、いつも穏やかでいられるわけではありません。雨の搬入、想定外の変更、体力が落ちる夕方……針は簡単にマイナスへ傾きます。それでも意識してやめたのは「自己憐憫」。自分をかわいそうがっても、現場は一ミリも進まない。代わりに選ぶのは“小さな行動”。挨拶を明るく、工具を丁寧にそっと置く、相手の言葉を最後まで聞く。小さな選択の積み重ねが、結果と自尊心を静かに底上げしてくれます。

リーダーに求められるのは、状況を完全にコントロールすることではなく、針を戻す速さを鍛えることだと今は思います。折れない人ではなく、戻れる人。戻り方を知る人。その背中が、チームの標準になります。

「念ずれば花開く」。努力や祈りの言葉に聞こえますが、僕にとっては“心の針をプラスに向け直す合図”です。今日の一件、ひと声、ひと工夫。その微差が明日の景色を変える。もし今、仕事が重たく感じるなら、まずはあなたの針をそっと確かめてみてください。戻す方法は、きっともう、手のひらの中にあります。

最後に、僕が続けている三つの実践を置いておきます。

①気づく――針の向きを言葉にする(いま焦っているな)。
②整える――姿勢・呼吸・机上を整える。
③選び直す――最初の一言と最初の動作を“相手優先”に置き換える。

たった三手で、仕事は驚くほど滑らかになります。THSでは環境整備や写真での振り返りで、この三手をチームの習慣にしています。プラスの良い波長は伝染します。まずは一人から、始めましょう。そして帰り際には自分にも「よくやった」と声をかける。自己肯定のひと言が、次の現場の燃料になります。

一緒に、現場からプラスの循環を育てていきませんか。

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