こんばんは、有限会社THSの鈴木です。書けば書くほど、「自分のため」と「誰かのため」は対立ではなく循環でつながっている——そんな実感が深まります。仏教の言葉でいえば「自利利他」。今日は、現場で体験したその手触りをお話しさせてください。
「数字」だけ追った頃に失くしたもの
経営を引き継いだ当初の僕は、売上や件数といったKPIに一直線でした。台数、工数、回転率。効率は上がるのに、なぜかチームの空気が重い。ある夏、急なエアコン故障で高齢の方のお宅に駆けつけたときのこと。作業は予定より長引き、次の現場が気になって心がざわつく。帰り際、その方が震える手でお茶と折り紙の鶴を差し出しながら言いました。「今夜は眠れます。ほんとうに、ありがとう」。
その一言が胸に刺さりました。僕は「何件こなしたか」ばかり見て、「誰を救えたか」を見ていなかった。翌週から、社内のホワイトボードに新しい指標を増やしました。「ありがとう件数」です。数字は相変わらず大切。でも、誰かの喜びを可視化した瞬間、チームの空気が変わり、結果として数字も追いついてきました。自分の成果を誇るより、相手の安心や喜びを積み重ねるほうが、結局は自分を助ける——これこそ「自利利他」の始まりだと気づいたのです。
“目的至上主義”でも“他者迎合”でもなく
自利利他は「自分を犠牲にすること」でも「他人だけを優先すること」でもありません。
・自分を鍛える:技術、健康、段取り、誠実さ。土台があるから人を支えられる。
・他者を想う:目の前の人の不安を減らしてあげる。
・バランスを保つ:強さだけ、成果だけ、好かれたいだけに偏らない。
この三つの均衡が崩れると、強さは独りよがりになり、優しさは疲弊に変わります。逆に、均衡が取れているとき、人のための行為が自分の喜びに変換され、仕事はぐっと面白くなる。
「自分の幸せは、他人の幸せの中にある」
大きな言葉ですが、現場で確かめると腑に落ちます。
誰かの「ありがとう」や感謝が積み上がると、紹介が増える。クレームが減る。学びが循環する。
気づけば、自分の仕事が好きになり、同じ景色が前より明るく見える。これが僕の体験から導いた自利利他の実用解です。
もしあなたが今、成果と承認のあいだで揺れているなら、まずは自分を整え、身近な人の「ありがとう」を積み重ねるところから始めてみてください。きっと小さな循環が立ち上がります。その輪はやがて、あなた自身を温め直してくれるはずです。
今夜も読んでくださり、ありがとうございます。明日も、誰かの「ありがとう」を一つ、増やしていきましょう。
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