こんばんは、有限会社THSの鈴木です。最近は休みの日もつい原稿を書いてしまいます。書けば書くほど、「主体的に道徳的な価値観を学ぶこと」が、仕事や人間関係の“手ざわり”を確かに良くしていくのを実感します。
人が幸せだと感じる根っこは、収入や肩書よりも、結局は人間関係にあります。ハーバードの長期研究でも、幸福と健康を最も左右するのは関係の質だと示されました。裏返せば、利己的なふるまいは短期的な得は生んでも、長期的には自分の幸福を削ってしまう。
日本には昔から「世のため、人のため」という発想や、近江商人の「三方良し(売り手良し、買い手良し、世間良し)」が息づいています。自分だけではなく、相手と社会にも益が立つことを良しとする視点。これは宗教やイデオロギーを越えて通用する“道徳のコア”だと僕は思っています。
とはいえ、頭で分かっているだけでは現場は変わりません。ここからは、会社で実際に効いた“当たり前の徹底”の話をさせてください。
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現場で一番効いたのは、大改革ではなく**当たり前の徹底**でした。朝は自分から元気に挨拶、約束の5分前行動、作業前の道具チェック、終わりの「ありがとう」を欠かさない——子どもでも言えることを、大人が本気で続けるだけ。これをチーム全員でやり切ったら、確認漏れが減り、連携は滑らかになり、空気が柔らかくなりました。
**「人を整えると、仕事は勝手に整っていく」**——現場で体感した、シンプルだけど強い法則です。
育成でも“当たり前”は力を発揮しました。新しく入ったメンバーに「最初の5分は道具と作業場所を整え、次の5分は“今日はここを手伝えます”と声をかけよう」とだけ伝える。たった10分の習慣なのに、1か月後にはミスが目に見えて減り、依頼や相談が自然に行き交うように。技術の詰め込みを増やすより、\*\*行動の“根”\*\*を整えるほうが成果の枝葉は早く伸びるのだと実感しました。
さらに、学びを定着させるための**記録の仕組み化**も効きました。作業前後の写真、チェックリスト、簡単な所感メモ——この3点セットをアプリで共有。良かった点も課題も“見える化”されるので、同じミスは二度と起きにくく、良い工夫はすぐ横へ広がる。こうして**学びが循環するチーム**になると、現場に余白が生まれ、目の前のお客さまに向ける気づかいの精度まで上がっていきます。
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道徳は「守るべきルール」ではなく、**毎日の選択の品質**だと僕は捉えています。誰も見ていない瞬間にどう振る舞うか。自分の都合と相手の都合がぶつかったとき、どんな順番で考えるか。これらは知識ではなく習慣で身につくもの。だからこそ、会社では「黄金律(自分がされて嬉しいことを、まず自分から)」を共通言語にし、小さな先回り——先に挨拶、先に謝る、先にありがとう——を文化にしています。
日本の精神性には、「道(みち)」という言葉が似合います。目先の達成で終わるのではなく、生涯にわたって自分を磨き続けること。その姿勢は、技術が進み正解が一つに定まらない時代にこそ、働く私たちのコンパスになります。
もし今、職場の人間関係や仕事の質をもう一段良くしたいと感じているなら、難しいスローガンより、明日の朝の一歩から。いつもより5分早く準備をする。先に「おはよう」「お願いします」「ありがとう」を言う。そんな“道徳の実装”が、あなたの仕事とチームの空気を、静かに、確実に変えていきます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。ここで書いた小さな実践が、あなたの現場でも役に立ちますように。よろしければ、あなたの現場の工夫もぜひ教えてください。学び合える仲間が増えるほど、私たちの「道」は強く、しなやかになります。
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